グローランサ備忘録

グローランサ関係の小ネタ記事の保管場所

ドラゴン・パスの動植物相

植物相

非人間たちによる占領が行われていた頃、のちにサーターとなる地域にはエルフの森が点在していた。これらは主にイエローパインの森 *1 で、ブナ、シーダ*2 、ベイマツ *3 、ナラ、シロトウヒ *4 、そしてレッドウッド *5 の木立が注意深く守られていた。クイヴィン山脈と嵐の山脈のふもと、藍の山脈の近く、そして迷える男の林に、これらの松林の残骸が今も残っている。ターンディサイの森は、この古い森の孤立した残滓である。人間が入植する前は、谷底の大部分は草原で、ナラの木が散在していた。この土地の多くは現在、小麦、大麦、ブドウ、果樹園などの耕作が盛んである。水辺にはポプラ *6 、ヒロハハコヤナギ*7 、シカモアカエデ*8 などの葉の茂った高木が並び、川岸にはヤマモモ*9 (治癒薬やキャンドル作りに使われる)がたわわに実っている。ザ・クリークの北、ドナルフ平原には、ナラとマツの木が散在する草原がいまだに広がっている。サーターの丘陵にはナラとマツの混交林と、ナラとマツが主体となっているサバンナがある。その野原では海の季になると野生の花々が咲き乱れる。ジャンは一般的な花で、治療の植物としても利用されている。火の季の後半から地の季の前半にかけては山火事がよく起こり、オークフェドの存在を示している。標高900mを超えると、ナラの森林地帯はイエローパイン、モミの木*10 、トウヒ *11 、インセンスシーダ*12 の群生地へと姿を変えていく。守護者の丘陵の東側では、ナラとマツのサバンナから、低茎の針葉樹やプラックスの暗葉低木、 ヤマヨモギ *13 、矮生草の雑木林へと変化する。

動物相

ドラゴン・パスは、ドラゴンの生息地として有名である。夢のドラゴン、ワーム、ワイヴァーンは珍しい存在だが、知られていないわけではない。より一般的に見られるのは、アンキロサウルス、ブロントサウルス、ハドロサウルス、トリケラトプスなどの恐竜の群れで、嘆きの谷周辺やアップランド湿原の外れに生息している。また、アロサウルス、デイノニクス、プテラノドンなどの肉食恐竜や、スピノサウルス、ティラノサウルスなどの恐竜も見られる。恐竜は大地の女神、特にマーラン・ゴアに神聖視されている。


大型哺乳類では、オオツノヒツジ *14 、バイソン、イノシシ、シカ、エルク *15 、インパラ、セーブルが一般的である。高地ではスカイ・ブルやマンモス *16 の群れが見られることもあり、森林地帯にはマストドンの群れが数頭生息している。また、ブタイヌ *17 も時折見られる。肉食の哺乳類には、灰色熊(グリズリー)、一般的に見られる黒熊(ブラックベア)、そして珍しい白熊(ホワイトベア)がいる。アナグマ、コヨーテ、キツネ、カワウソ、ラブルランナー、シャドウキャット(かすみ猫)、オオカミはよく目撃され、クーガーや剣歯猫は存在するが、目撃される頻度は低い。ジャガーはサーター南部の標高の低い地域で時折目撃される。小型の哺乳類としては、シマリス、ジャックラビット、テン、ヤマアラシ、アカリス、リングテールキャット *18 、スカンクなどが生息している。


この地域には、コーンスネーク *19 、キングヘビ *20 、ガラガラヘビなどの爬虫類が多く生息している。中でもダイヤモンドバックガラガラヘビ *21 は、通常見られる最も大きなヘビである。クリフトードやロックリザードは、守護者の丘陵ではことさら珍しくない。水辺には巨大なカメが生息している。鳥類では、ブルーバード、アオカケス、カラス、ハチドリ、カラス、レッドバード、白鳥、ワイルドターキー、キツツキ(ウッドペッカー)など、数え切れないほどの種類が生息している。擬人化された小さなアヒル人間(ダック)は有名だが、普通のアヒルもいる。イヌワシをはじめ、ミサゴ、アカオノスリハヤブサ、フクロウなどの猛禽類も生息している。ハゲワシやコンドルは、特に守護者の丘でよく見られる。巨大昆虫は、トロウルの森や藍の山脈の近くで特によく見られる。スズメバチの巣の巨大スズメバチはサーター南部全域に生息し、巨大ミツバチは花の谷付近で頻繁に目撃される。



Art by Cory Trego-Erdner!

(Flora and Fauna of Dragon Pass – The Well of Daliath より)


*1:yellow pine Yellow pine - Wikipedia

*2:cedar。ヒマラヤスギ。 ヒマラヤスギ属 - Wikipedia

*3:Douglas fir。ベイマツ - Wikipedia

*4:white spruce。Picea glauca - Wikipedia

*5:redwood。レッドウッド - Wikipedia

*6:aspen。ポプラ - Wikipedia

*7:cottonwoods。 Populus sect. Aigeiros - WikipediaPopulus sect. Aigeiros - Wikipedia

*8:sycamores。セイヨウカジカエデ - Wikipedia

*9:bayberry。 ヤマモモ - Wikipedia

*10:white firs。 モミ属 - Wikipedia

*11:spruce. トウヒ - Wikipedia

*12:incense cedars.Calocedrus decurrens - Wikipedia

*13:sagebrush. ヤマヨモギ 別名:アルテミシア・トリデンタータ | 樹木や花木の種子 一覧 - KUGEL クーゲル

*14:bighorn sheep

*15:elk。グローランサでは、エルクはヘラジカではなくワピチ鹿だと言われている

*16:mammoth。おるんや

*17:pig dog

*18:ringtail cats

*19:corn snakes

*20:kingsnakes

*21:diamondback rattlesnake

ルナー帝国のオーランス弾圧について

ご存知の通り、ルナー帝国は可能な限り特定のカルトを弾圧しようとしている。その筆頭はもちろんオーランスだが、ストーム・ブル、ユールマル、マスターコス、ヒミール、イノーラ、ヴァリンド、ゾラーク・ゾラーンなども公式に嫌悪されているカルトである。ただ敵対するカルトの中には、オスリラ(ルナーが川の住人に対して犯した罪 *1 のおかげで、イェルムを通じて間接的に接触しなければならない)を含め、帝国が許容しているものもある。


しかし、それは何を意味するのだろうか。ルナー・ハートランドでは、オーランスのカルトがシリーラと西域領でなんとか生き残っていることが分かっている。ストーム・ブルのカルトはドブリアンと西域領に分布し、ヨルプ山脈はゾラーク・ゾラーンのカルトの中心地である。ルナー属領地では、人口の10~25%が未だにオーランスに帰依しており(属領地によって異なる)、アガーは1世紀以上ルナー属領地でありながら、オーランスのカルトの活動の中心地である。なぜ、このようなことが起こるのだろうか?


答えは2つある。まず、ルナーはオーランスのカルトのメンバーを見つけ次第殺して回るようなことはしない。実際、サーターなど反抗的な地域を除いては、カルト教団に手を出すことはほとんどない。ルナーのサトラップや総督たちは、カルトが静かにし、トラブルや反乱を起こさない限りは容認することが多い。新パヴィスで、七母神の寺院のすぐ近くに風の寺院があって活動していたのはそのためである(少なくともソル・イール政権の時代には)。


第二に、オーランスは重要な友人を持つことが多い。ルナー属領地では、アーナールダ教団が人口の10~25%を占めており、そのカルトはオーランスと密接な関係にある。その他、光持ち帰りし者たちの友好カルトも人口の6~15%を占めている。これらのカルトは現地の統治者によって公式に許可され、時には推奨されている。オーランスのカルトに強い措置を取れば、その同盟者たちからの反乱を容易に誘発しかねない。ルナーの軍事的・魔法的な資源は限られており、ドラゴン・パス周辺や赤の平原での戦争などが、常に優先度が高い。


そのため、ルナーはこれらのカルトへの敵視は、法的な差別、すなわち余分な税金、特定の職業からの排除などを通じておこなわれる。そして時には群衆による暴力で(特にセアード人の都市の場合)。そのため、例えばルナー属領地の多くでは、少なくとも属領管理の支配下にある地域では、オーランスのカルトは新しい寺院を建てることを許されていない(そしてしばしば時間の経過とともに寺院を失っている)。オーランスのカルトのメンバーは、ルナー当局から常に疑いの目を向けられている。“神々の王”オーランスが支配する古い部族組織は、ルナーの地方支配者に取って代わられる、といった具合に、オーランスのカルトは差別と迫害を受けながら、このまま衰退していくことが望まれている。


しかし、ドラゴン・パスでは少し違う。オーランスは支配の神であり、サーター王朝の守護神である。ドラゴン・パスはオーランスと赤の女神の魔術的な対立の戦場であり、神そのものを倒すことが目的となっている。魔法的な挑戦は軍事的な相を帯びるかもしれないし、軍事的な作戦は魔法的な目標によって推進されるかもしれない。オーランスのカルトのメンバーはもちろんこれに巻き込まれた――しかし、これは主に魔法的な関心によって推進されたのであった。場合によっては、ルナーは農村の儀式を混乱させたり、大寺院を冒涜したりするかもしれない。だがその一方で、自分たちの目の前にある同様の儀式や聖地は無視することもあった。


ここ十数年、これを推進したのは、ルナー野外魔術院の学長である“聡明なる”タティウスであった。周知の通り、タティウスは帝国貴族の有力家門アシディ家の有力者であり、イェルムの司祭かつ赤の女神の入信者であった。赤の皇帝の寵愛を受け、この戦争の最終段階を遂行するためにドラゴン・パスのルナー総督に任命されたほどだ。しかしタティウスでさえ、自らの計画を遂行するために必要な場合を除いて、地元のオーランスのカルトをほとんど無視していた。


タティウスの計画では、ホワイトウォールを陥落させる必要があった。タティウスは、オーランスのカルトの活動拠点を破壊することで、神を倒し、頑強な叛逆神を赤の女神とその息子に服従させることを期待していた。しかし、これは一時的な勝利に過ぎないことが判明した(予期せぬ重大な副次的結果を伴う)。軍事的な逆転は魔法的な結果をもたらし、「グローライン」をドラゴン・パス全域に広げようとした試みは「真竜の目覚め」とともに失敗した。*2


※ ※ ※


グローランサの紛争は、しばしば儀式的な感覚を伴うことがある。カルトの敵は、最も強力な魔法が発動される前や、ヒーロークエストが始まる前に現れることが多い。多くの寺院やカルトはこれを防御するための資源を持っていないため、そもそもこれを試みない。


『煙吹く廃虚』 *3 の「グリーンロックの杜」 *4 というシナリオはこの良い例である。エルフが儀式を行うとき、プレイヤーキャラクターは儀式によって「召喚」されたカルトの敵から木立を防衛する必要がある。もちろん、トロウルやドワーフは自分たちが召喚されたとは思っていない。彼らは、エルフの聖日に木立を攻撃することを「最初から計画していた」のだ!


そしてもちろん、これはルナーとオーランスの争いによくあることだ。占領下では、オーランスの強く呼びおこすことは危険だった。オーランスの敵を呼び寄せることにもなるからだ。解放されたサーターではその逆で、「真竜の目覚め」後のボールドホームでは、赤い月をあまり強く呼びおこさない方がよいだろう!


(Suppression of Orlanth Under the Lunar Empire – The Well of Daliath より)


*1:ルナーはオスリル河のいきものたちを虐殺したことがある。

*2:オーランスを殺したことで、魔術的に光持ち帰りし者たちの探索的な状況を誘発してしまったのだろう。

*3:シナリオ集

*4:The Grove of Green Rock. アルドリアミの聖なる森と、新しい Shanaesee の木を植えようとするエルフの試みが描かれる。冒険者はこの儀式に参加することができる。

マルキオン教徒について考える際の注意点をいくつか

特定の好き嫌い

マルキオン教徒は一般的には神々に不信感を抱いている。マルキオン教は祖先崇拝の流れが強く *1 、マルキオン教徒は祖先を神々を凌ぐほどの力を持たせたり、あるいは神々を単なる超人的な英雄や国をまたぐ祖霊 *2 に貶めたりしてきた。神々への礼拝をすべて拒否する宗派もあれば、特定の神々に例外を設ける宗派もある。例えば、第二期において神知者はチャラーナ・アローイ、イサリーズ、ランカー・マイといった光持ち帰りし者たちのカルトを中部海洋帝国中に広めた。神々を崇拝しない宗派であっても、マルキオン教徒以外による神々への礼拝を弾圧することはほとんどない


他の神々を崇拝するほとんどのカルトはザブール・カーストのメンバーを軽蔑し、恐れている。ザブール階級は、(ザブール階級が目指しているように)神々を自らを極めた者たちだと考えている。彼らは神々を同輩だと考えているのである。神々を礼拝する者は、自分より劣った者、成し得なかった者である、と。当然ながら、こうした考え方は、神々を崇拝する人々とザブール階級の間に大きな摩擦を引き起こす。


マルキオン教徒は古の種族を全般的に不信・嫌悪しているが、これも特定の宗派によって例外とされることが多い。マルキオン教徒はすべての古の種族を、オーランス人ら丘陵の蛮族や混沌のモンスターと一緒に「カージョールク」というカテゴリーで括っている。


マルキオン教徒は悪の力を認め、それを「悪魔」the Devil と呼ぶ。悪魔は混沌の神である。悪魔は見えざる神を忘れた最悪の存在である。生命の驚異の力を自分自身に敵対させ、その過程で世界を破壊しようとしたからである。


※ ※ ※


タラー階級はマルキオンの長男の直系の子孫であり、彼らは王、英雄、そして神々といった祖先を、見えざる神の至高の力につながるものとして尊崇している。最も古い祖先は神々の子であり、子孫に代わってエレメンタルの神々や諸王に取り次ぐことができる。したがって、タラーは自分の血統を注意深く学び、過去の世代の指導者と現代をつなぐ役割を果たさなければならない。


死後、タラーの遺骸は地中に埋葬される。墓の上には塚や社などの建造物が建てられるのが一般的である。子孫の間では、特定の先祖を崇拝することが一般的である。第一期では、セシュネラ人の王墓が神聖な複合施設として宗教活動の中心であった。ゼメラ、フレストル、ガーラント、テイロールなどのカルトは、現在ではマルキオン教のすべてのカーストが礼拝している。


※ ※ ※


西方グローランサの人々は、騎士や城、一神教徒といった話やイラストはあっても、彼らはキリスト教徒やイスラム教徒のような印象は全くない。個人的な不老不死のプロジェクトは、世俗的な科学主義に対するコメントとして、いつも私を驚かせる。*3 しかし、このプロジェクトが新たに展開されたことは喜ばしい。


マルキオンの人間主義 *4 のもとでは、人間は自分以外の存在を礼拝することなく、神々の創造力を行使することができるし、そうすべきである、世界は人間の理性と論理だけで説明し、理解し、習得することができる、とされる。


これはグローランサでは過激な発言である。ゼイヤラン人、ルナー人、プラックス人らは、それを狂気の傲慢と見なす。古の種族はそれを暗黙の脅威と見なしている。



(A few notes about things to keep in mind when thinking about the Malkioni より)


*1:ancestor worship

*2:multinational ancestors

*3:意味不明。The project of personal immortality always struck me as a comment on secular scientism.

*4:humanism。マルキオン教を特徴づけるものとされる

マルキオン教の魔道について

マルキオン教徒は、「ルーン」(蛮族からは神として崇拝されている)を創造した見えざる神を尊崇する。ルーンが他のルーンと組み合わされて、より小さなルーンが創造された。これらの小さな創造物のひとつである建国者マルキオンは、見えざる神の法則を人間に明らかにした。この抽象的な見えざる神は、崇拝者に直接的な魔術を与えることはほとんどないが、神の法則の知識は魔術師に世界の他の部分を定義し操作する力を与え、物質を宇宙的蒸留 *1 の原料に変えた。マルキオンは神々の戦いで反乱を起こした神々に殺された。マルキオン教徒の魔術師は、他の場所ではすべてを支配していると信じられている神々の同意なしに、宇宙を形作るようになった。


マルキオン教の魔道は、特定のルーンに以下の原則のいずれかを適用することで成立する。

  • 召喚/退去(Summon/Dismiss)
  • 支配(Command)
  • 結合/分離(Combine/Separate)
  • 切開(Tap)


マルキオン教の魔道では、物事を正しく識別することが非常に重要となる。好んで用いられる手法の1つが系統学的なもので、先行するルーンを特定することでその物が何であるかを判断する。


例えば、デバルダン魔道学派 *2 では水のルーンを研究している。その呪文には、《水の召喚》Summon Water(水のエレメンタルを召喚する)、《祖なる水の召喚》Summon Progenitor of Water(現在の水のエレメンタルを用いて、特定された「祖先の水」を召喚する)、および《[パワールーン]と水の結合》 Combine Water with [Power Rune] が含まれる。ほとんどのマルキオン教徒にとって切開は不道徳かつ邪悪なものとされているが、デバルダン学派は《水の切開》を教えている(いずれにせよ、この呪文(切開)はマルキオン教徒が用いる論理的技法から容易に導き出される)。


神知者はグローランサの神話対する詳細な理解を通じて、匠的な効果を発揮した。たとえばある魔法戦争では、神知者は具体的に特定した水のエレメンタルを召喚し、それを使ってある海神を、あたかも他のエレメンタルのように召喚した。そして、死霊術師的な力を使わせ悪魔学的な行いをさせ、その海神に父神を召喚させた。そして、その父神に命じて、その別の子である天空の水の神タニアンを召喚させた。そして、「燃える水」などあり得ないと思っていた無防備なウェアタグ人に、タニアンを放ったのだった。


(Malkioni sorcery | Moon Design Publications より)


*1:cosmic alembic

*2:Debaldan School of sorcery

アイオロス派(ヒョルトランドの暗黒異端派)

アイオロス派マルキオン教は、見えざる神を最高の創造主として礼拝する。彼は源であり、驚異の卵であり、唯一者である。見えざる神は、13(8つのパワーと5つのエレメンタル)の頭と4本の腕を持つ年老いた神として描かれることもある *1 。武器は持たず、代わりに物差し、本、操り紐 *2 を持つ。また彼は王冠を被っている。


見えざる神はあまりに遠く、直接礼拝するには近寄りがたい存在と見なされている。その代わり、エスヴラール人はオーランス、チャラーナ・アローイ、イサリーズ、ランカー・マイ、ユーマルを創造主の擬人化/化身として崇拝する。このうちオーランスが最も重要である。これらの神々には妃がおり、一緒に礼拝される。


アイオロス派の哲学の多くは、見えざる神から天宮の神々、神、そして定命の人に至る一連の流出 *3 に焦点を合わせている。神々の戦いは一連の創造プロセスの一部と見なされ、それは不浄の三神が創造に反抗して混沌をもたらし、宇宙を破壊するまで続く。そして宇宙は光持ち帰りし者たちの探索によって救われた。


アイオロス派は、マルキオンが論理王国から追放されたとき、現在のケタエラにやってきて新マルコンウォルを建国したと主張している。神々の戦いでマルキオンが殺されると、彼らは長い間その喪失を嘆いていたが、見えざる神がオーランスを送り込み、宇宙の盟約で宇宙を回復させたという。アイオロス派は魔道を行っているが、神々や精霊に生け贄を捧げることもある。


(Aeolian - the Well of Daliath より)


*1:見えざる神なのに…?

*2:string of eyes

*3:emanation

アーカット主義

初期のマルキオン教は、犠牲を捧げる儀式、魔道のテクニックや呪文、律法上の戒律、哲学的な思索などから構成されていたと考えられている。後にフレストル主義は初期マルキオン教の合理主義や哲学的要素を維持しつつ、新しい哲学的な流派を発展させた。その代表的なものが「ロカール主義」と「新フレストル主義」である。


しかし、これと並行して違和感を覚えさせる「アーカット主義」 Arkatism が存在する。神々やヒーロークエスターを重視し、矛盾を抱えながらも伝統的な慣習を尊重するアーカット教は、マルキオン教の合理性の影である。


そして我々は第二期、第三期のオーランス人の思想に、特にケタエラとドラゴン・パスに、アーカット主義の痕跡をいくつも見ることができる。


アーカットは『Cult Book』 *1 のなかでいろいろなところに垣間見える。ラリオスの現代の 「アーカット教団」については、より良い媒体を待つことにしよう *2 。言うまでもなく、現代のアーカット教団は他の宗派に影響を与えていない。


何よりも、同じ事象を複数の異なる織り糸で見たことが *3 、アーカット主義を作りあげた。その啓示の後、可能性に対して心を開くことが必要になった。そして、心を開くために必要なことはすべて使わねばならくなった! *4


オーランス人はこのアプローチ、つまり「アーカットのいないアーカット主義」の最大の受益者だったかもしれない。


アーカット主義を考えるとき、それは多くの要素から構成されていることを忘れてはならない。

  • 風と大暗黒に重点を置いた単一神話(『Cults of Terror』や『トロウルパック』で提示されたものを想像してほしい)。
  • ヒーロークエストのテクニック(範囲の決定、参加の仕方、自己認識、覚醒、変化など) *5 は歌と物語で表現され、瞑想、祈り、その他の理解へのアプローチに重点が置かれている。
  • 光と生命と対になるものとして、大暗黒と死を受け入れる。
  • パワールーンの極端な使用は、しばしばその対極にあるものとの組み合わせで行われる。


第二期の「近接聖域」*6 や「運と死の支配者たちの大会」では、このような要素が多く見られ、また、神知者ではより合理的な要素が見られる。



(Arkatism – The Well of Daliath より)


*1:今後発売される「Gods of Glorantha」のこと?

*2:セイフェルスター本とか?

*3:一つの神話を複数のヒーロークエストで観察したことを指すか

*4:よく分からないが、アーカットの啓示を使うには強制的にマインドセットを変えねばならないということ?

*5:Ranging, Joining, Identify, Awaken, and Change

*6:the Proximate Holy Realm。別記事でその概念の説明があるが、共同体の運営を神的なものにすることで英雄界を物質界に近づけるというコンセプトらしい。

魔道


では、魔道についてお話しよう。まず明らかなのは、「他の魔術システムとは大きく異なる」ということだ。精霊魔術では、あなたが意識を集中する(焦点具を通して)方法を知っている精霊がいる。そしてそれはその精霊ができる範囲で効果を発揮する(剣を鋭くする、自分を強化する、人を癒す、などなど)。


ルーン魔術では、あなたは神の力のかけらを振るう。あなたは神を物質世界のなかに導くために演技をする。その一瞬の間だけ、あなたは物質界における神の顕現となる。そのため、神とのつながりを維持しなければならず、行動が制限され、神に時間や資源(物質的にも精神的にも)を捧げなければならない。


魔道はそのようなものではない。魔道は「学ばなければならないもの」であり、学ぶには困難が伴う。広大な「記憶の宮殿」 *1 を構築し、神々の時代のなかの点と精神的なつながりを作ることを学ばなければならない。その多くは暗記学習で、何年もかかる。


それから呪文を学ぶ。この「記憶の宮殿 」をむすびつけて物質界に効果をあらわす注意深い道筋である。この方法の限界は明らかである ――学ぶのは時間がかかり、呪文を学ぶのは難しい。ごく一部の人だけがこの方法を学ぶ時間の余裕がある(そして残りの社会によってサポートされる必要がある)。


しかし、利点はなんだろうか? それは神や精霊を必要としない。自分が習得できる(あるいは創造できる)どんな呪文でも唱えることができる。


では、ごく一部の専門家だけが魔道を学べるのであれば、ほとんどのマルキオン教徒はどうやって魔法を使うのだろうか?


簡単だ。タラー階級も兵士階級も労働者階級も、ほとんどは精霊魔術とルーン魔術を併用している。例えば、タラー(支配者)階級は他の階級のマルキオン教徒に命令を出すことができる。また、祖先を崇拝し、彼らから魔法を得ることができる。ただ精霊魔術へのアクセスは制限されている。ホーラル(戦士)階級は所属する連隊や戦闘結社から精霊魔術を学ぶことができ、戦神のカルトに属することができる。そしてドロナー(労働者)階級はタラー階級が認めたカルトに参加することができる。


しかしもちろん、マルキオン教徒であれば、選択肢はタラー階級の命令によって制限される(ザブール階級が直接的に制限するわけではない)。タラー階級がオーランスを礼拝してはならないと言えば、それは事態を悪化させることになる。これはドロナー階級よりもホーラル階級の方が大きな制限となる(たんに、ドロナーが皆を養い仕事をする限りにおいて、彼らに頼むことは稀であるため)。


Q: ええと、時々そう聞くんだけど、魔道はINTで呪文の強度を操作するために、思考を空っぽにする必要があるんだとか。つまり、他の呪文を "忘れ "て(記憶の宮殿にしまって)、新しい呪文を唱えるときには1時間かけて〈瞑想〉する必要があるんだ。しかし、もし冒険に出ていて、ほかにすべきことがたくさんある場合はどうすれば?


A: 私の答えは簡単だ。あなたはザブール階級なのだ。あなたは魔道の専門家、つまり大学の研究教授に相当する人だ。あなたの日常的な必要を世話するために、ホーラル階級とタラー階級がいるはずだ――あなたの護衛も含めて!


Q: 真に偉大な魔道士は、おそらく真に強力な精霊を呪縛することができる? 
A: 呪縛された精霊や大型(あるいは超大型)のエレメンタルは、マトリックスに呪縛され、解放され、のちに再度支配される。



ルーンカルトの中には――特にランカー・マイ――魔道に手を染めていて、彼らの呪文は情報を得るのに非常に有用である。魔道に手を出すことはプレイヤー・キャラクターには可能だが、本格的な魔道士を演じることは困難である。もちろん、女王種トロウルやドライアドを演じることが可能であるように、それは可能ではあるが。


もしあなたが魔道士を演じたいなら(ランカー・マイやチャラーナ・アローイのような単なる道楽ではなく、本物の魔道士を意味する)、他のゲームとは非常に異なる種類のゲームでプレイすることになる。あなたはできることを事前に準備してから物事に飛び込み、それからどんな新しい秘密を得ることができるかを見るようにした方がいい。なぜなら、物事というのは、象牙の塔よりも、ずっと物事が速く起きるからだ。


あるいは、象牙の塔から出て、準備ができていようといまいと、今世界でできることをすると言うのだ。そして、彼らがそれをどう考えるか見てみよう。


(Sorcery – The Well of Daliath より)