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勝利者オーランスの丘

ボールドホームから勝利者オーランスの丘まではおよそ32km、アテネアクロポリスからエレウシスの聖地までの距離とほぼ同じである。両者を結ぶ街道はないが、無数のサーター人が巡礼の旅を続けてきた。


サーターの公王たちが統治していた時代、オーランス勝利者の丘では多くの部族やカルトが聖祝期を過ごし、公王の監督と支援を受けていた。人々はボールドホームやジョンスタウン、あるいはその周辺からやってきて、近くの村に宿をとったり、原野で野営をしたりした。司祭やルーン王たちは生贄を捧げ、儀式を行い、オーランスと光持ち帰りし者たちを呼び起こした。数千人、ときには数万人の人々がその儀式に参加した。司祭や寺院が優先権を争っていたが、代々この丘はサーター王朝の盟友である“木々を跳びこす者”ホスタリングの直接の保護下にあり、公王に訴えることは稀だった。もちろん、サーターには聖祝期の儀式は数多く存在するが、勝利者オーランスの丘で行われる儀式は、まさに「祝祭」であった。スターブロウの反乱の後、丘はルナー兵ではなくイェルマリオのカルトに守られるようになり、祭典はより小規模になった(そして悪名高い反乱者は丘から追い払われた)。1625年にサーターが解放されると、勝利者オーランスの丘での聖祝期の儀式は、新公王の最も重要かつ急務であると多くの人が考えるようになった。



ベアビュートの丘 出典: ウィキメディア・コモンズ


他の儀式と同様、勝利者オーランスの丘で行われる聖祝期の儀式は、神聖な神秘と、世俗的なパーティーや取引が組み合わされたものであった。


大寺院であるため、聖祝期にはオーランスの仲間や地域の下位カルトのほとんどが、ここで礼拝される。ストーム・ブル信者たち、大地の女祭やスネークダンサーズ、イサリーズの商人、ランカー・マイの書家、チャラーナ・アローイの癒し手、ヘラーの雨請い、インキン信者、そしてもちろん、トリックスターの一団とその道化師たち。その光景を想像してみてほしい!


そしてもちろん、サーターに住むすべての部族の人々。聖祝期には、そこに来ることができるすべての人々が集まるだろう。世界を復活させるために、古い対立は脇に置かれるだろう。


もちろん、クルブレア部族、シンシナ部族、ケルドン部族、そしてボールドホームやジョンスタウンの都市住民など、一部の部族民が大部分を占め、ダック、リスメルダー、ロカエム、クルテインといった部族は、存在するとしてもごく少数に過ぎず、数としては少ない。


また、丘を守るイェルマリオンというのは、まさに大暗黒を再演していることに留意せよ(つまり、イェルマリオ信徒がルナーに代わって丘を守るのは、オーランス人がそこで礼拝するのを防ぐのに、神話の共鳴によって適しているからなのかもしれない?)。


ここはオーランスが「光持ち帰りし者たちの探索」を始めた場所であり、ハルマストが二度の「光持ち帰りし者たちの探索」を始めた場所だ。ここは彼岸と此岸の境界が弱く、浸潤しやすい場所なのだ。そこで、簡単に光持ち帰りし者の探索を始めないようにするための措置が取られている(その探索は極めて危険で予測不可能であることが知られているからだ)。


しかし、サーター解放後、公王カリル・スターブロウは「光持ち帰り者たちの探索」の準備を始める(ただし、その危険性と予測不可能性を抑えるための準備はした)。彼女のクエストは結局は失敗に終わり、英雄戦争を加速させることになり、次の一世代にわたってその足跡をたどることを思いとどまらせることになった。だが、再びルナーの力を前にして、絶望した公王アーグラスが制約をつけず準備もせずにクエストを実行に移すことになるのである。