カリルと「悪い雨」：光持ち帰りし者たちの探索の失敗
光持ち帰りし者たちの探索では、儀式をヒーロークエストに昇華するため、参加者全員によって「悪い雨」が召喚される*1。
悪い雨とは、オーランスの「シャドウ」のことで、オーランスの中にある、近親相姦、殺人、無謀な破壊などの陰鬱で抑圧された闇、そしてオーランスの行いがもたらした恐ろしい結末を指す。オーランスは世界を征服したが、その際に大暗黒と混沌を世界に招き入れた。大暗黒の目前、オーランスは嘆き悲しみ、「悪い雨」が降った。多くの物語で、このことは地上世界でトロウルが出現したことと関連している。424年にハルマストが「悪い雨」を呼び出したとき、「そのとき降っていた雨はすべて悪い雨だった」のだから、それは簡単なことだった。一なる老翁の息子であるアンゴルスク・イグ*2が、「熱を帯びてやってきた赤いトロウル」（ゾラーク・ゾラーン信者のこと）と共に召喚された。悪い雨とその怪物が儀式を襲い、参加者が殺されることも珍しくなかった。ハルマスト自身も自暴自棄になり、「マンシーの燧石」*3でアンゴルスク・イグを誤って殺害してしまった。
光持ち帰りし者たちの探索を始めたカリルは、「悪い雨」を召喚し、潜在的な恐怖や罪悪感を顕在化させた。多くの者が殺されたが、「悪い雨」は追い払われ、儀式はヒーロークエストとなった。
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このようにシャドウを認識することがオーランスのカルトのヒーロークエストの鍵であり、力の源である。このアプローチは、赤の女神がゴッドクエストの一部としてシャドウを受け入れるまで、火／天空のカルトには拒否されていた。
皮肉なことに、ルナーの宗教は、彼らが生まれ、現在も支配している火と天空のカルトよりも、多くの点でオーランスのものに近いということである。
Q：どちらも「中空」の宗教だから？
A：違う。中空ではなく、自分のシャドウと自発的に向き合うことについての話だ。
Q：「悪い雨」とは、混沌、ラグナグラーのようなものですか？
A：ラグナグラーは別のものだ。悪い雨はオーランスのシャドウだ。ラグナグラーはストーム・ブルのシャドウと言った方が正しいかもしれない。ストーム・ブルとラグナグラーはオーランスよりもずっと対立している。
Q：ウーレインは悪い雨の混沌の擬人化なのか？
A：ウーレインは混沌の神ではない。何ものかがそれをテキストに滑り込ませた結果、混沌の神とされたのだ。グレッグのノートや、ウーレインの説明をあるがままに読むならば、ウーレインが混沌ではないことは明らかだ。
Q：シャドウは不可視と違うのか？ ゼンサがイェルムに不可視であるように？
A：シャドウはユングの概念だ。それは人の抑圧された無意識を表している。太陽であるイェルムは、自分が消火され地界に送られるまで、自分のシャドウを見ることができなかった。
カリルの罪悪感、失敗、恐怖は大きく、彼女が悪い雨を召喚するのはたやすかった。彼女は、自分がこの世にもたらしたもの、すなわち暗黒、無秩序、混沌への恐怖を顕在化させ、大きな代償を払ってでもそれを打ち払う必要があった。20年後、アーグラスは悪い雨を召喚するために何をすることもないほどで、彼のヒーロークエストは地界よりも深くまで及んだ。オーランス人はしばしば、英雄は彼らの失敗、罪悪感、恐怖から作られると言う。それがなければ、克服するものはなく、したがって英雄も存在しないのだと。
これはグレッグのストーリーテリングの鍵である。彼の主人公たち――ハルマスト、アーグラス、アーカット、赤の女神、サーター、ターカロール、など――には、英雄になるために立ち向かうべき失敗や恐れ、後悔があった。英雄となったからといってそのシャドウがなくなったわけではないが、英雄たちはシャドウと共存できるようになり、自分のシャドウに滅ぼされる危険もなくなったのだ。ときに、アーカットのように、シャドウとの対決は文字通りのものだ。アーカットは自分のシャドウを受け入れて、トロウルに変貌し、ナイサロールを倒したのだ。
そして、グレッグのアーサー王に対する考え方も、これと同じだと言えるだろう。
そこで気になるのは、カリルのシャドウとは何だったのか――彼女がもたらした暗黒、恐れ、失敗、そして後悔とは何かである。
アーグラスは矛盾を受け入れることができた。彼のドラゴン的意識がその証拠である。カリルは文字通り、揺るぎない存在だった。おそらくそれが彼女の極星とのつながりを説明するものだろう。オーランスのような創造的破壊者の足跡をたどる場合には、それは最善のアプローチとは言えないかったのかもしれない。
