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ケタエラの歴史:第二期

それから5世紀にわたり、世界が変化する中でも影の国は政治体として存在しつづけた。ウェアタグ人は、中部海洋帝国のジルステラ人の司祭魔術師たちによって海から追い出された。ドラゴン・パスではワームの友邦帝国が形成された。これらの組織はいずれも、ヒーロークエスターの一団が自らの欲望を満たすために意識的に異界に入り込むという、魔法宗教的な科学主義哲学と共存していた。影の国では、こうした要請はアーガン・アーガーのやり方によって十分に満たされ、黒硝子の城はあえて入ろうとする者たちには常に開かれていた。影の国では、古代の権力と英雄が強く残っていた。


ジルステラ人もワームの友邦帝国も、忠実な権力基盤をケタエラに維持しようとした。結局のところ、この地は大陸の交差点であり、あらゆる勢力がこの地を求め、とには軍事的、魔法的に競り合うこともあったが、ここを閉鎖したり荒廃させたりすることは望まなかった。こうして影の国は政治、宗教、神話の必要性を満たし、そのまま残りつづけた。


偉大な実験帝国たちの傲慢さは、ケタエラの人々に大きな破壊をもたらした。ノチェットでは「学徒の暴動」が頻発した。知識神の信奉者たちがジルステラ人の知識の利用に憤慨したためである。849年、スロントスで発生した「女神のすげかえ」によって、エスロリアは大飢饉に見舞われた。907年、「2年の冬」がカラドランドに、そして島々にまで雪をもたらした。その10年後、「風無き嵐」はエスロリアとカラドラランドを荒廃させた(ヒョルトランドは無被害だった)。


実験帝国が崩壊する中、「一なる老翁」はその弱点や必要性につけ込み、影の国はより強くなっていった。一なる老翁は、自分に最も近いところに住む敵を滅ぼそうとした。ジャドノールとリルケットの両都市は現地の勢力によって陥落し、また刀鳴りの都の滅亡は多くの伝説の源となった。


刀鳴りの都は、ジルステラ人の知識と魔法を受け継ぐ者たちによって左腕諸島の先端に建設された都市である。住民たちは頭脳とアイデアを結集し、不思議な特性を発見した。彼らは機械的な戦争マシンを作り、魔法の戦闘アイテムを大量生産した。907年頃、彼らは機械神ジストルを目覚めさせた。この機械神は、動き回り、自分で考え、魔法を使い、自己複製さえもできる偉大な存在であった。古代の神々はこの暴挙に対して吠えたけり、こうしてジルステラ人の最後の没落が始まった。人間や他の多くの種族が都市を破壊するためにやってきたが、都市は10年間、すべての攻撃に抵抗することに成功した。その最後の滅亡は、叙事詩文学の着想の源となった。


940年、大閉鎖はケタエラに到達し、海洋が閉ざされジルステラの脅威は終わった。1035年、ヘンドレイキはエスロリアの一部を押さえた。彼らは巧みな婚姻政策と征服によってライゴスとストロスの沿岸都市を支配下に置いたが、ノチェットは独立を保った。


1042年、ワームの友邦帝国は自滅した。一なる老翁は残された民を支援し、特に解放された獣人族に援助を与えた。彼は北方と西方の土地にもその保護を拡大した。


1050年、ロウドリルはヴェントから怒りと激情を噴出させた。その破壊の焦点はスロントスと神知者に向けられ、土地は海底に沈んだが、噴火はケタエラ全体を揺るがした。カラドランドでは、ソルン高原に避難した少数の敬虔な家族を除いて、人間の生活はほとんど消滅してしまった。高さ3mの土の波がエスロリアを通過し、ほとんどすべてのものをうち倒し、その後、より小さな余波が続いた。その結果、灰の雲が1年の間、太陽を覆い隠し、その後の飢饉でジェナーテラ南部全域が衰退した。


1100年以降、「無敵の黄金の群」が北から接近してきたとき、多くの人間がケタエラの地に逃亡した。彼らは故地を見つけたが、政治的な独立を果たすことはできず、既存の部族に吸収され歴史から姿を消した。1120年、無敵の黄金の群れがドラゴニュートの先祖代々の巣を破壊しようとし、ドラゴンキル戦争が勃発した。ドラゴンキルとは、モンスターが何を受けたかではなく、何をしたかによって名付けられた。数え切れないほどの真のドラゴンがドラゴン・パスに飛来し、古代の地に住むすべての人間を絶滅させた。ドラゴニュートによって石造りの十字架が立てられ、人間が通ることを禁じられた場所の目印となった。