グローランサ備忘録

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フレストルの道——騎士道

フレストルの道は太陽暦2年にセシュネラの地で始まったが、その重要性はそれが分離した文化、ブリソスに由来する。この先史時代の文化は大暗黒よりずっと前に始まっており、グローランサの西方文化のルーツである。


ブリソスの古代種族は、その父であり創設者であるマルキオン人と呼ばれ、またその母である島の女神の名をとってブリソス人と呼ばれることもあった。


マルキオンとブリサ *1 の間には5人の子供がいたが、そのうち4人は男子でマルキオン人の4つのカーストを確立した。また、もう1人女子がおり、彼女はブリソスで非常に重要なブリサ女神の女祭位を確立した。マルキオンの子供たちはこの土地に住み着き、「論理王国」を築き、そのかたちを確立した。


タラーは長男で、父の領地の分け前としてマルキオンの王冠を受け取った。ザブールは次男で、精神世界の支配者となった。“剣の息子”ホーラルは三男で、軍神ヒューマクトの剣を持つ兵士だった。末子の“鋤の”ドロナーは、兄たちを養うためにたくさんの子供を産み、陽気に働いた。*2


マルキオン教徒は神々の時代の戦いにおいて、特に当時の多くの神々に匹敵するほどの力を持つザブールの技能によって、よく戦った。一度だけ、他の多くの国々と同じように、引き裂かれて混沌の格好の餌食にされかねない悲惨な内紛を未然に防いだことがあった。

タラーの長男で、王子であり王位継承者であったフローラーが、兄弟との内戦を避けるためにブリソスから旅立った出来事である。他の多くの者も彼と共に行き、フローラーウォル *3 (後にセシュネラではフロウォル *4 と略された)と呼ばれる最初のマルキオン教徒の植民市を創始した。


フローラーは大暗黒を通じてセシュネラ人と呼ばれる民を率い、敵対する野獣崇拝者たちをも助けた。彼の妻ゼメラは、英雄的な自己犠牲を払い、混沌と暗黒の魔から民を救った。曙の時点で、フロウォルの民は世界の他の地域と比較しても豊かになっていた。


しかし、丘陵地帯の野蛮な蛮族たちは感謝も友情も示さず、すぐに嫌がらせと戦争に戻った。フローラーとその宮廷のザブールたちは、どうすればよいのか思い悩んだ。大地の女神セシュナ・リキータの娘である女神イフタラはまた蛮族たちの母であり、女神が彼らを助ける限り、曙の時代は戦争と紛争に支配されることになるだろうと考えたからである。


そこで、フローラー王の子フレストル王子は、「イフタラを倒して、この国に平和をもたらす」と誓った。フレストルが父のザブールたちにその方法を尋ねると、彼らはこう言った。「あなたは神のようになり、彼らの知っていることを知らなければならない。あなたは今あるように、指導者にならねばならないが、それだけでは十分ではない。あなたは戦士でなければならない。そして、剣の扱い方を、剣のために育てられたどの男よりもよく知っていなければならない。私の下で学んでいる従兄弟たちのように、祈りを学ばねばならない。そして私たちを養う耕作者のように大地の秘密を知らなければならない。こうしてマルキオンが息子たちに与えた4つの仕事を組み合わせてこそ、神の仕事を行う神となるでしょう」。


宮廷はこれを神への冒涜と恐れた。フレストルは身を清め、建国者マルキオンの寺院に行き、祖先に問うた。マルキオンはフレストルの前に姿を見せ、兜と盾、鎧と剣、そして書物を勇士に贈った。そして言った。「セシュネラ人の古いやり方を改めさせなさい。お前は強大な敵に狙われているのだから。指導する者にそうさせなさい。戦う者にそうさせなさい。刈り取る者、蒔く者にそうさせなさい。魔道を学ぶ者にはそうさせなさい。行って望むように為しなさい。私の祝福があなた方と共にあるのだから。全ての神々があなた方を祝福してくれますように」。


こうしてフレストル王子は 最初の「全き人」 *5 、マルキオン教徒の守護者となった。フレストルはこの地で最高の剣士となった。農民たちの大地の秘伝を学び、敵の刃を鈍らせ傷口から血を流すのを止める戦いの呪文を学んだ。マルキオンから渡された、フレストルの掟のもととなる聖なる書物を研究した。野生の馬を飼いならし、馬上での戦い方を学んだ。準備が整うと、フレストルは大地のなかに降り、マルキオンの剣でイフタラを倒した。


だがクエストは成功したものの、フレストルは蛮族にではなく、イフタラの母でありこの地の女神であるセシュナ・リキータに殺された。しかし、王子は死者の国で記憶と自我の幾ばくかを保ち、クエストを続けた。


フレストルの死を知った王は、息子の命の回復を願い、自ら旅立った。フローラーは女神セシュナ・リキータに会い、フレストルの返還を交渉することに成功した。だがフローラーは代わりにイフタラを生き返らすことができず、フレストルはセシュネラから永遠に追放されることになった。フレストルはその後も様々な偉業を成し遂げたが、「神殺し」の偉業に匹敵するものはなかった。フレストルは他の人々に「全き人の道」(ときに「騎士道」 *6 または「騎士」*7 と訳される)を教えた。彼らは偉大な存在となり、人類の輝かしい模範として何世代にもわたって受け継がれている。


(The Way of Hrestol – The Well of Daliath より)


*1:Britha

*2:マルキオン人の4つのカーストの元。

*3:Froalarwal

*4:Frowal。古セシュネラ帝国の首都。現在では城塞海岸にある廃墟となっている。

*5:Men-of-All。騎士。

*6:chivalry

*7:knights