1627年までのアーグラスの生涯を簡単にまとめてみた
基本的なストーリーはこうである。『アーグラスは少年時代にプラックスに追放された。彼はバイソン族に奴隷として連れて行かれたが、奴隷となっているあいだに白い雄牛の精霊を見つけ、解放した。白い雄牛はストーム・ブルの息子/ワッハの兄弟で、プラックス人はグバージや混沌などとの最終決戦に導いてくれると信じている』。
アーグラスは白い雄牛と直接接触した者として、この新しい魔術結社の指導者となり、ルナー人のおかげで *1 プラックス人部族のあいだで急速に広まっていく。
しかしその一方で、アーグラスはサーター王家の一員(マイナーな分家だが、ルナーのために本当に彼しか残っていない)であり、“冒険者”オーランスのカルトの信者である。彼は実験的ヒーロークエスターであり(彼が白い雄牛をどこで見つけたとお思いか)、英雄界の奥地にある奇妙なもの――酔っ払いの巨人の大釜、竜の歯——などを探し求めている。そのクエストの予期せぬ副作用で巨人の赤ん坊が生まれると *2 、アーグラスは海へと旅する巨人の女の子を保護する。このことがきっかけで、彼は“狂戦士”ハレックと接触することになる。
険悪なスタートを切ったハレックとアーグラス *3 は同盟を結び、帰郷洋を周遊して略奪や冒険を行い、さまざまなものを目にすることになった。テシュノスの太陽司祭、テレオス人、ラスカルの蝙蝠スンチェン、ドラド人、フォンリット人のオンパロム教団、ジルステラの遺跡、セシェネラの魔道士など、実に多くのものを目にする。アーグラスが聖王国に到着する頃には、グローランサで最も幅広く冒険をした人物の一人になっていた。
聖王国を経てプラックスに戻ったアーグラスだったが、彼が不在の間に白い雄牛の運動が広がっていた。彼は全部族からメンバーを集め、ルナーから新パヴィスを征服(解放)するために、“黄金の”ジャルドンを召喚する。新パヴィス征服後、彼はゆりかご河にあるルナーの守備隊を素早く解散している *4 。
その直後、アーグラスは最初の大きな挫折を味わう。彼はプラックス人の同盟者とともにドラゴン・パスの征服に乗り出したが、ヘンダーズ・ルインにおいてルナー魔術学院によって打ち負かされた *5 。アーグラスが新パヴィスに戻って療養しているうちに「真竜の目覚め」が起こり、カリル・スターブロウがサーター公国に即位してしまった。
というわけで、RQGの開始時期となる。さて、私にとってより興味深いのは、その先のストーリーである。カリル女王のサーター統治も束の間、アーグラスがプラックス人と冒険者の軍隊を引き連れてドラゴン・パスに戻ってくる。アルダ・チュールからルナーを追い出したアーグラスは、ボールドホームに進軍し、サーターの公王となる。彼は伝統的なサーターの指導者層である部族の評議会や都市評議会とは直接の関係を持たず、“冒険者”オーランス、ストーム・ブル、トリックスター、プラックス人の軍隊、多くの素行不良人、冒険者、無法者、拘束された司祭、シャーマン、変人など、基本的に「雷鳴の反逆者」と言うようなあらゆるものが彼の後ろ盾になっていた。
経験豊かな軍隊(そしてたくさんの騎兵)を持つ新しい公王がルナー帝国に攻撃する意図があることは明らかだったが、その前に手はずを整える必要があった。しかし、赤の皇帝とジャ・イールが赤の平原の反乱を鎮圧し、ルナー属領地の秩序を取り戻しつつあるなか、時間は刻一刻と過ぎていく。
それが1627年、本格的に事態が転がり始めるところである。その時点で、私たちはボードゲーム『ドラゴン・パス』 *6 の時代にいることになるのだ。
イラストは、素晴らしいアンナ・オルロヴァ作。
Q:では、RQGでは『グローランサ年代記』での「複数のアーグラス」説ではなく、1つの「リアル」な物語を目指している? A:イエス。グレッグと私は、「複数のアーグラス」は失敗であり、ゲームユーザーにとって障害になるという結論に達した。もし私たちがRQでフィクションをやるなら悪夢としか言いようがない。『Guide to Glorantha』や『Glorantha Sourcebook』、そしてそれ以降のすべての本で、私たちがそのアプローチを放棄したことがおわかりいただけるだろう。
他の主要な歴史上の人物と同様、彼については多くの矛盾した物語がある。例えば、ある物語ではパヴィスにいるはずの彼がノチェットにいたり、ジルステラで墓荒らしをしていたりする。ジャ・イール、ハレック、アーカットなどもまた同じだが。
Q:なぜ、アーグラスが冒険者の力を借りなければならないか? A:それはアーサーと同じ理由で、彼は一度に一ヶ所にしかいないからだ。アーグラスは羽馬の女王に求婚している? では、彼はブルーと戦うことも、落ちてきた空の破片を調べることも、青い月の暗殺者を止めることも、サマスティナ女王をなだめることも、狂戦士ハレックの気を引くこともできないわけだ。その他にも、数え切れないほどのことが起こっているのに。
『ペンドラゴン』でもそうだが、NPCの偉大な英雄がいることで、プレイヤーの活動がより活発になるのである。当然ながら、『ペンドラゴン』を書いた人が、『アーグラス・キャンペーン』を書いている。